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慢性前立腺炎??慢性骨盤痛症候群?の鍼灸症例50代

2月頃から坐骨神経痛で治療にみえていた50歳代のMさん、下肢痛の方はだんだん良くなっていきましたが、
今度は次第に痛みが坐骨結節の内側の方に集約してきました。

そして座っていると会陰部の方にも痛みがくるようになってきました。

泌尿器科に行くと、

「慢性前立腺炎でしょう」
といわれ抗生剤を投与されました。
(特に細菌検査はやらなかったそうです。)

しかもご本人は排尿障害は全くありません。

相談の結果、陰部神経周辺をねらった治療に変更。

うまく功を奏してかなり改善、8回くらいでほぼ症状はなくなってきました。

慢性前立腺炎という診断ですが、細菌感染が証明できない場合は、非細菌性慢性前立腺炎とか又は慢性骨盤痛症候群と呼ばれることもあります。
この辺の診断基準はかなり曖昧です。

こういった原因不明会陰部痛、骨盤痛などに、鍼灸でのアプローチでは陰部神経周囲のトリガーポイントをねらった治療で、かなりの効果が出ることがあります。

今回も仙結節靱帯のやや上あたり、坐骨結節周辺の骨盤底筋群を触診すると異常感がはっきりと分かり、このあたりの循環不全やうっ帯が症状の大きな原因の1つであろう、と推測できます。

ちなみに、トリガーポイント療法のバイブルともいえる、
トラベルのトリガーポイントマニュアル3(156ページ)には以下のように書かれています。

「これらの骨盤諸筋による神経圧迫・絞掘は証明されていない。しかしながら,潜在的な神経圧迫という点から見た小坐骨孔の状況は,本巻第10章で検討する大坐骨孔における坐骨神経圧迫とよく似ているようである。
小坐骨孔の縁は,堅くて凹まない:片側は骨性の坐骨であり,そしてもう一方の側は強靭な靱帯つまり,仙結節靭帯と仙棘靱帯である。これら2つの靱帯は互いに交差するところで癒合しているので,もし,この孔が完全に埋まった場合は,圧力を緩和する間隙は何も残らないことになる。陰部神経,内陰部血管,および内閉鎖筋とその腱が,この孔を通過している。過点では閉鎖筋は通常かなり腱状となるが, しかし,筋がtrPsを発生し,短縮と膨張したときは,陰部神経と内陰部血管を圧迫するのに充分な量の筋線維がこの孔を通っていることもある。
原因不明の会陰痛や感覚異常症があるときは, この可能性を調べてみる価値がある.」

ちなみに「小坐骨孔」は 
「小坐骨切痕と仙結節靱帯、仙棘靱帯とによってつくられる小孔で、
内閉鎖筋の腱が通るほか、梨状筋下孔から会陰に達する内陰部動静脈と陰部神経の通路となる。

今回は私にとってもいろいろと勉強になった症例でした。
本当に、治る、治らないの差は紙一重の所です。

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横浜市戸塚鍼灸院

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コメント

あらら、Mさんこんばんわ。
補足のコメントありがとうございました。

先生が言及されたMです。
症状はそけい部から会陰部の強い不快感で、座っていることができず、仕事はできるだけ立ってする、食事も蹲踞の姿勢でするといった状態でした。
泌尿器科では慢性前立腺炎と診断され、自分でもあれこれ調べてみましたが、いろんな説があるものの「こうしたら治る」という決め手は分かりませんでした。
先生がいろいろ工夫をしてくれた結果、ここ数回で驚くほど症状が軽くなりました。
原因か結果は分かりませんが、骨盤内の鬱血が存在していたことは感覚としてよく分かりました。
鍼灸は気血のめぐりをよくすることは知識として知ってはいましたが、あらためて痛感しました。
同じ症状の誰にも効く、とは言えないでしょうが、試してみる価値は大いにあると思っています。

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