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大腿神経(伏在神経)絞扼性神経障害

大腿神経は腰椎2番3番の神経根が傷害されて根性の大腿神経痛をひき起こすこともあります。
根性の大腿神経痛以外で、
絞扼性神経障害としては、
・大腿神経が鼡径部を通る際の圧迫や絞扼、
・知覚枝の伏在神経が膝の上内側で内転筋管(ハンター管)を通る際、或いは内転筋管を出たあたり、
・枝の伏在神経膝蓋枝が縫工筋を通過する部位あたりで起こることがあります。
(この場合の膝の痛みが変形性膝関節症と間違われているケースがあります。)

伏在神経絞扼性神経障害(Hunter管症候群)
 大腿神経の知覚分枝である伏在神経は,内転筋管周囲で絞扼され障害をきたすことがあります.

症状としては,伏在神経膝蓋下枝内側下腿皮枝の支配領域である、膝内側や下腿から足内側への放散痛や知覚異常です。
立ち上がる時などで縫工筋が緊張する際に痛む事があります。

絞扼部されやすい部位は
内転筋管前壁(広筋内転筋板)の筋膜を貫通する部位(伏在神経本幹)、
縫工筋腱部を貫通する部位、
縫工筋後縁を通過し前方へ屈曲する部位、
縫工筋と薄筋の間、
大腿筋膜貫通部位
鷲足後方など
に多い。

内転筋管(ハンター管)周囲で伏在神経本幹が絞扼された場合は、多くは膝蓋下枝、下腿内側神経の両方が傷害されますので、膝の内下方(鵞足部)の痛み、同時に下腿内側神経支配領域の下腿内側~内顆あたりまでの痛みや知覚障害が起きる場合があります。

膝蓋下枝が単独に絞扼された場合は主に膝の下内側に痛みや知覚障害を訴えます。
頻度としたらこちらの方がやや多いようです。

膝蓋下枝絞扼障害では、立ち上がるとき、しゃがむとき、階段昇降時(特に降りるとき)に痛みを感じます。
これらは変形性膝関節症と間違えやすい症状ですが、縫工筋の緊張が膝蓋下枝に影響していると考えられています。もちろん鍼灸の適応症です。

小児のいわゆる成長痛、
「夜、急に膝が痛い、と訴えて泣き、寝なかったが今朝はケロリとしている」
「急に膝の内側を痛がったが、しばらくしたらケロッとしている」
などは膝蓋下枝の伏在神経絞扼性障害であることが多いといわれています。

このように膝蓋下枝絞扼障害では夜間痛や安静時痛が見られたり、日によって症状の強さが違ったりする、などの特徴があります。

頻度は比較的少ないといわれていますが、大腿神経が鼡径部の下を通る時に、圧迫や絞扼を受けることもあります。
(股関節の硬い人、婦人科の手術、盲腸の手術をした人は、この鼠径部で大腿神経や外側大腿皮神経の障害を起こすことが時々見られます)

一般には鼠径部から股関節前面あたりの部位のはっきりしない痛みを訴えます。
ひどい場合はビリッと電気が走るような激しい痛みを訴える場合もあります。
大腿神経は鼠径靭帯の下をくぐり、鼠径動脈のすぐ外側を走ります。ここを押すと痛みを訴えます。
参考 太ももの痛み(大腿神経絞扼障害)

下の図は人体解剖カラーアトラス南江堂より。
赤丸の7の所が内転筋管裂孔。内転筋管は内側広筋、大内転筋の内側上顆停止腱、およびその間に張る広筋内転筋板で構成される。伏在神経は広筋内転筋板を貫いて皮下に出る。

Fukuzai3

Fukuzai4

下の図の5が伏在神経膝蓋下枝です。

Fukuzai1

Fukuzai2

下はトリガーポイントマニュアルから。
内側広筋と縫工筋のトリガーポイントが最も関係が深いですね。

Naisokukoukinn

Houkoukinnkabu

解剖メモ
「第2~第4腰椎の前枝から起こり。大腰筋内を下行し大腰筋の下外側縁から現れる。その後大腿神経は大腰筋の外側縁と腸骨筋の前面の間を走る。鼠径靱帯の後方を通って大腿前面に入るところでは、腸骨筋膜の深層、大腿動脈の外側に位置する。
伏在神経は大腿骨内顆から約10センチくらい近位にある内転筋管内で膝蓋下枝と下腿内側皮枝に分枝する。膝蓋下枝は内転筋管の前壁(広筋内転筋板)を貫通し縫工筋の下層に出た後、この筋或いはその腱部を貫通するか、又は縫工筋と薄筋の間を通過した後、大腿筋膜を貫通し皮下に出てその方向を外側に屈曲し膝蓋骨の内下部の知覚を司る。
一方下腿内側皮枝は大腿骨内顆の後方で縫工筋と薄筋間の筋膜を貫通し皮下に出てから、大伏在静脈に沿って下腿内側を下行し脛骨内顆部を通り母指内側に至り、下腿、足関節と足の内側の知覚を支配する。」

横浜市戸塚鍼灸院

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