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胸郭出口症候群2(肩甲背神経の絞扼)

肩甲背神経はC5の神経根より起こり、後ろ側に向かいしばしば頸部で中斜角筋を貫いて肩甲骨の内側縁に達し、それに沿って走ります。肩甲背神経は運動性で肩甲挙筋(の一部)大菱形筋、小菱形筋を支配します。

これらの筋は頑固な肩こり、肩甲間部の痛みに関与していて、その原因が中斜角筋での肩甲背神経の絞扼であることが多く見られます。

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上の図は人体解剖カラーアトラス(南江堂)
11が肩甲背神経、40中斜角筋

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上は新しい人体解剖アトラス(メディカルサイエンスインターナショナル)312ページ

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上は局所解剖カラーアトレス202ページ。
8前斜角筋、9中斜角筋、6腕神経叢

斜角筋のトリガーポイントからの関連痛も胸郭出口症候群による症状とほぼオーバーラップしています。

下2枚と文章はトリガーポイントマニュアルより。
下Bは最小斜角筋のTP
Syakakutoriga

関連痛は前方、外側、後方に放散されることがある。
前方では持続的な疼痛が胸筋部位を通して放散される。
外側では痛みは上腕の前面及び後面を下がり肘部を通過して橈側前腕部に波及し手の母指示指に及ぶ。
左側にこの痛みがあると活動時又は休息時の狭心症と間違われやすい。
後方では痛みは肩甲骨の上部脊柱縁(内側縁)に放散される。

胸筋部に2本の手のような形に放散されるパターンの基因は通常中または後斜角筋の下部である。
肩の前部に放散される斜角筋痛は棘下筋からの関連痛とは異なり、関節に達するほど深くないと述べられている。

腕神経叢の下神経幹の圧迫・絞扼は通常前斜角筋、中斜角筋のTP緊張性によって起こる。
この圧迫・絞扼は尺骨神経痛、ひりひりした痛み、麻痺、そして感覚異常を引き起こす。
前斜角筋のTP活性はしばしば手の浮腫を引き起こす。

肩甲骨の上角のすぐ内側の上背部に痛みを訴えるとき、最も疑わしい筋膜痛の原因は斜角筋TPである。

手(主として尺骨神経の支配領域)の麻痺やひりひりした痛み、及び不意に手から物を落とすなどの神経学的な症状は、胸郭を離れ、第一肋骨にかかる部分での腕神経叢の下神経幹の圧迫・絞扼によるものである。

手の浮腫がある場合はそれは手首より遠位に向かい特に4本の手の指の基部と手背に広がっているように見える。患者は特に朝起き抜けの手背の硬化と朝のこわばり、指輪のきつくなる感じを覚える。これらは斜角筋TPsによるもので鎖骨下静脈及びリンパ管が前斜角筋前面を通る時に圧迫こうやくされると起こることがある。
この硬化は夕方になるにつれて消失する。
これに伴う指のこわばりには浮腫のみが原因ではなく指の伸展筋の筋膜の緊張性も関わっている。

斜角筋TPsは腰の高さにおいて手によって引っ張ったり、持ち上げたりする動作によって活性化される事がある。
それは例えば大鎌をふるったり、舟のロープをたぐったり、馬の調教、乗馬、綱引き、水泳競技、または持ちにくい大きな物体を運ぶ事などによって活性化されやすい。

活性化TPsが存在するときは鎖骨下窠中央、鎖骨直下の胸部に常に圧痛が感じられる。
この斜角筋テストポイントは大胸筋の上かやや内側にある。
圧迫への過敏性は斜角筋TPs関連圧痛のみによることもあるが、胸筋組織内のTPsに関連していることもある。

前斜角筋の最もよく見られるTPは外頸静脈の下かやや前方にある。
活性斜角筋TPは鎖骨と乳様突起の間の真ん中の高さに見つかる。

Syakakutoriga2

メモ
前斜角筋  頸椎(3番から6番)横突起前結節 停止・第一肋骨内側縁前斜角筋結節(リスフラン結節)
中斜角筋  頸椎(通常2番から7番)横突起後結節  停止・第一肋骨上面の鎖骨下動脈溝の後方隆起
後斜角筋  下位頸椎2個から4個の横突起後結節  停止・第二肋骨

胸郭出口の外出口では鎖骨下動脈と下神経幹が一緒に、これら2つの斜角筋の第一肋骨付着の間、鎖骨の後下方で第一肋骨を横切る。鎖骨下動脈は時として前斜角筋を通り抜けこれを分割することもある。

前斜角筋がTPs活性によって緊張し短縮すると、この筋は鎖骨下動脈より鎖骨下静脈を圧迫・絞扼しやすいこと、また腕神経叢の下神経幹を圧迫しやすい事が観察される。
中斜角筋にTPsが発生するとこれは主として腕神経叢の下神経幹を圧迫・絞扼する。

横浜市戸塚鍼灸院

 

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