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腋窩神経絞扼障害

腋窩神経は肩の後ろ側のQuadrilateral space(外側四角腔或いは外側腋窩隙)
という所で絞扼障害を起こすことがあります。

この部分は上腕骨外科頚の内側、上腕三頭筋の長頭の外側と小円筋の下縁、大円筋の上縁で形成されます。

肩が下垂位の時はスペースに余裕がありますが、肩の外転、外旋位では上腕三頭筋の長頭と外側頭、上腕骨、大円筋の位置関係でスペースが狭くなり、圧迫されて障害を起こしやすくなります。

ですからスポーツによるオーバーヘッドオーバーユース障害では、解剖的な特徴から腋窩神経が上腕骨頭の前方の分岐部間で損傷されやすく、後方のQuadrilateral spaceも狭小化することによって絞扼される事になります。

(具体的なスポーツとしては野球、バトミントン、テニスのサーブ、バレーボールのアタック、水泳のクロール、バック、バタフライなど)

また神経と共にQuadrilateral spaceを通過する静脈叢が外傷によって容易に出血し瘢痕形成を生じやすいといわれています。ですから、外傷後の浮腫や出血後の瘢痕による絞扼、打撲による腫脹、睡眠中の姿勢による圧迫、などで起こる場合もあります。

一般的症状

肩の痛み(局在ははっきりしないがおおよその場所は示すことが出来る)

肩の挙上がしにくくなる。脱衣困難、髪が結えない、高いところの物が取れない。
運動痛は90°外転、外旋、更に水平伸展を加える動作で痛みが見られる。
     肩の下垂位では外旋できても、90°外転位での外旋では痛みが出ることが多い。
肩の後ろ側Quadrilateral space部に圧痛がある。
肩の外側に知覚障害がでることがある。
夜間痛はあったりなかったり。

以下は別の書籍から

深部の痛み。徐々に痛みが広がり、激しくなる。

主に関節前面が痛む。患者の体位性により、時折夜に痛みを増す。

上腕の外側面へ痛みが放散する場合がある。

無理に前方運動や外転外旋運動を行うと痛みが激しくなる。

感覚障害不定

上腕の付け根の皮膚の感覚鈍麻又は感覚麻痺

下の図は「肩の痛み」 南江堂より

Ekikasinnkei3

解剖
腕神経叢の後神経束から始まり、肩甲下筋前面を腋窩動脈の後に位置して下降し、同筋下縁を回り、
Quadrilateral space(外側腋窩隙:大円筋、小円筋、上腕三頭筋長頭、上腕骨で囲まれた間隙)を後上腕回旋動脈とともに通り、上腕骨外科頚を取り囲むように後側に走る。
この間隙を出る直前又は出た直後に小円筋への枝を出した後2本の終末枝に分かれる。
内側枝は三角筋下を内側に走り、同筋肩甲棘部に枝を出し、同筋後縁を回り、三角筋表面を覆う上腕外側上方の皮膚知覚を支配する。(上外側上腕皮神経)

外側枝は後上腕回旋動脈を伴って上腕骨頚部を外側に走り、三角筋肩峰部、鎖骨部に枝を出す。
神経は三角筋下面肩峰下5センチの部に枝で付着したかたちで前方に走っている。

枝は小円筋、三角筋に分布し、皮枝は外側上腕皮神経として上腕上部の外側の皮膚に分布する。

Quadrilateral spaceの部位は上腕三頭筋に行く橈骨神経上枝も存在し、この部位で腋窩神経と橈骨神経上枝が同時に傷害される事もあります。

松葉杖の使用で脇の下の腋窩神経が圧迫されて麻痺を起こす場合があります。
三角筋 小円筋が麻痺しますので上肢の外転が出来なくなります。小円筋は外旋筋ですので外旋力が低下します

下は人体解剖カラーアトラス南江堂より
Ekikasinnkei_1

Ekikasinnkei2

上の図 1が腋窩神経、18が筋皮神経,3烏口腕筋、23肩甲下筋

横浜市戸塚鍼灸院

参考文献 「肩の痛み」 南江堂

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