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後骨間神経の絞扼・麻痺 回外筋症候群

橈骨神経の深枝である後骨間神経が、肘の下で回外筋の筋腹を貫く際 回外筋の浅層に形成されたアーチ、Frohseのアーケードの下を通り浅層と深層の間に入ります。この部分で圧迫・絞扼が起こる場合があり、橈骨管症候群とか、麻痺が強い場合は後骨間神経麻痺と呼ばれる場合もあります。

症状としては、肘周辺や前腕部の疼痛、指が伸ばせない、親指が広げられない、といった症状が出てきます。
初期では上腕骨外側上顆炎と間違えることもあります。

聞き慣れない病名ですが、ギター奏者のの村治佳織さんがこの後骨間神経麻痺で、指が動かなくなり、半年ほど休養したそうです。
一般には使いすぎ症候群ですから、手の回内回外を多く繰り返す、指揮者、ギター奏者やテニス、バトミントン等のスポーツ選手に起こる場合があります。

橈骨神経は肘窩外側壁で浅枝と深枝に分かれる前に、腕橈骨筋と長橈側手根伸筋に枝を出してそれらを支配する。

また、短橈側手根伸筋近位縁の背側を通過する際、(ここは同筋筋膜が前腕深筋筋膜と連絡が有るため)前腕回内時に深枝を圧迫する事がある。

深枝は短橈側手根伸筋に枝を出した後、回外筋の2頭の間を通り、橈骨骨幹の近位部を回って前腕の後面に達する。
深枝は上腕二頭筋の腱の1センチ外側でアーケードに入っている。
この部位では橈骨神経は腕橈関節の関節包の前部に接して走行し、その関節包に接着している回外筋の深層の線維がわずかであるがクッションの働きをしている。

この神経は回外筋を支配した後、後骨間神経として浅層と深層の筋へ達する。
一枝は尺側手根伸筋、総指伸筋、小指伸筋。
一枝は橈側の伸筋群と外転筋群(長・短母指伸筋、示指伸筋、長母指外転筋)

後骨間神経は後部コンパートメントの他の筋を支配し、長母指伸筋の深部を通って手関節へ達し関節枝として終わる。

下はグレイ解剖解剖学706ページ
Koukokkannsinnkei

下は局所解剖カラーアトラス 南江堂
14が後骨間神経、13回外筋、3,4はそれぞれ長短橈側手根伸筋
Koukokkannsinnkei2

橈骨神経深枝は鍼灸のツボでいうと肺経の尺沢穴のやや下あたりから橈骨頭のやや下の部分をぐるりと周り大腸経の手三里あたりに出て、三焦経の四瀆のやや上あたりから三焦経に沿って下行していくことになります。
絞扼された部位を探すには回外筋の走行をきちんと理解する事が必要になります。

疼痛は前腕の回旋運動時に増強します。
肘30度屈曲位で上腕二頭筋力を除外して抵抗下に前腕の回外をさせると疼痛が誘発される。
しかし回外の筋力は低下しています。
他動的に回内させると疼痛が誘発され、夜間痛がある場合もあります。

後骨間神経麻痺では運動線維ですから知覚麻痺は理論的には起こりませんが,
知覚異常を訴える例は有ります。

後骨間神経麻痺では、下垂指(ドロップフィンガー)になります。

下垂指は、指のみがダランと下がった状態になり、
手指の付け根の関節の伸展ができない、
母指を開くことができない、
という事が起こります。

手首の背屈は可能です。(但し背屈力は若干低下気味)
(長短橈側手根伸筋は,Frohseのアーケードより近位で神経支配を受けている為に影響されないので示指はやや伸展位になる。)
手関節は橈屈気味になります。

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上は後骨間神経麻痺実際例

回外筋の麻痺は上腕二頭筋によって代償されるが完全回外はできません。

(感覚障害は手背から第1~3指背側に出現します.)(ここは疑問符。個人差があるようです。浅枝の方が感覚神経。深枝は運動線維だが感覚神経の一部を含むという説もある。絞扼による浮腫が浅枝の方に及ぶ可能性もある。)

通常の橈骨神経麻痺(橈骨神経が肘の上の上腕骨骨幹部で損傷される)の場合は,
下垂手(ドロップハンド)となり、腕橈骨筋,回外筋,手関節や手指の伸筋が麻痺します.

ちなみに名前が似ている病気に前骨間神経麻痺というものがあります。
これは正中神経が円回内筋で圧迫されるものです。

 

横浜市戸塚鍼灸院

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