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ハンター管(内転筋管)症候群(伏在神経障害)と思われる症例

鼠径部で大腿神経が傷害され、さらに内転筋管部分で枝の伏在神経が傷害されたと思われる症例。
43才Sさん、下腿内側の痛みで来院。
最初は5月下旬、空手の後ろ蹴りの反復練習後に右股関節に違和感が出た。

翌日、座骨神経痛のような痛みが出た為、
(最初に痛みが出たのは、太腿外側面、ふくらはぎ外側面、脛前面。)
整形外科で股関節のレントゲンを撮影。翌日に脊椎のMRIを撮影した。
どちらも特に問題はない為、痛み止め(ボルタレン)を処方されたが、全く効かなかった。。このときは仰向けで右膝を90度曲げた状態しか、楽な姿勢はなかった。

二日後くらいに整形で神経ブロック。

5日後くらいににストレッチ?をした30分後くらいから後に膝下の内側(伏在神経部分と一致している部分)に痛みとしびれが出てきた。

(注:ストレッチというよりはインナーマッスルを鍛えるエクササイズの様で、仰臥位で右足を内旋させた状態で上に持ち上げ、少し外転してすとんと落とす、というエクササイズ。)

その後、医者でリリカという痛み止めをもらい、近所の鍼灸院(2軒)にも通った。
坐骨神経痛といわれ、大腰筋に特殊な鍼を打ったり(すごく痛い針だったが3回行っても症状は不変だった)、下腿に鍼したがほとんど効果がなかった。

現在は右足膝の下、下腿内側の痛みや知覚障害がとれず、一日中異常な感覚がある。
特に立ち上がったりと動作を変えた瞬間にビリット痛みが強くなったり、寝ていても毎晩痛みで夜明け前に起きてしまう。
ビリット来る痛みは一日頻繁に起こる。

※症状のある右足はだいぶ細くなってしまい、あまり力が入らない、足が上がりにくい。
 長く歩くと足の付け根前面(ツボでいうと髀関あたり)や股関節周囲が重く張ってくる。
※現在は2キロ程度は杖が無くても歩く事が出来るが階段は杖がないときつい。
※風呂に入ると楽になる。
※痛みが強くなるときもあるが、現在は仰向けで足を伸ばしたり、横向きの姿勢をとる事
も出来る。
※3年前にも空手の蹴りの動作で右股関節を痛め、坐骨神経痛のような痛みが出た事があり。

既往症:
盲腸は30歳の時切ったが糸が膿んで1年後に再手術した。
(手術跡は結構大きいので、この傷跡の影響から大腿神経の障害が起きやすくなったとも考えられる。)

当院の来院は、傷めてからほぼ1ヶ月後。(6月)
大腿神経障害の記事を探して、自分のもこの伏在神経ではないか?という事で来院。
触診すると、鼠径部の大腿神経部、大腿内側のハンター菅部、膝の鵞足、商丘あたりに顕著な圧痛有り。程度からいうと、鼠径部の大腿神経部、大腿内側の内転筋菅(ハンター菅)あたりが強圧痛。内転筋管周囲の圧痛は範囲が広く、最大圧痛点が探りにくく、下肢の方にビリッと痛みが走るほどではない。(これは上手に探せなかったのかもしれない)

初診時、大腿神経伸展テスト陽性。

参考記事
大腿神経(伏在神経)絞扼性神経障害
太ももの痛み(大腿神経絞扼障害)の症例

考察するに、最初に股関節周囲に痛みが出たときに、鼠径部の大腿神経の部分も傷めていたようです。
それが悪い意味でのベースになって、エクササイズでさらに内転筋管部分の伏在神経(膝蓋下枝、内側下腿皮枝の両方)が傷害されて下腿の痛みがきている、と考えられます。

今まで通っていた鍼灸院では股関節周囲の小殿筋、中殿筋、大腰筋及び下腿の内側の痛みのある部位を中心に治療していたようでした。
(最初の頃の坐骨神経痛の様な症状は中殿筋、小殿筋からの関連痛と思われます。)

整形外科や他の治療院では、鼠径部の大腿神経部位、内転筋管(ハンター管)部位は全然触診もされていない様子。
坐骨神経痛の患者さんは多いですが大腿神経痛の患者さんは珍しく、
このような大腿神経・伏在神経の障害は見過ごされる場合が多いように思われます。

この症例だけではなく、マイナーな絞扼性神経障害の場合などは、整形外科でも正式な診断がつくまでに病院を数件たらい回し、ということも実際に少なくありません。

・大腿神経の痛みを腰椎からの根症状からと考えると、腰椎2番、3番を調べますが、鼠径部で大腿神経が傷害されたり、内転筋菅の部分での障害は知らないと見過ごされやすいです。

・鍼で大腰筋を狙うのという方法も、足の付け根あたりの痛みや足が上がりにくい、という症状がありますから、分からなくはないですが・・・・
今回のケースだと腸骨稜内側、小転子付近を狙うのは大腿神経も近いですしアリではありますが、腰部から狙ったのはちょっと外れていたようです。

大腰筋を狙うにしても、背部、腹部、腸骨稜内側、小転子付近では違いがあります。

・下腿の痛む箇所に鍼・・・・というのも普通によく行われますが、軽い場合は使うタイミングによっては効果はあるでしょうが、今回のように痛みの強い場合はあまり効果的ではなかったようです。

2回目来院時 少し楽な感じ。治療後大腿神経伸展テスト陰性になった。
3回目来院時 痛みはだいぶ楽になってきている
4回目来院時 痛みの回数、痛みの程度も減ってきている。

遠方からの為、残念ながら5回ほどで中断。初回の時は歩行時は松葉杖を使用していたが、最後の時は平らなところは松葉杖がほとんどいらない様子だった。

(症例としては中途半端ですが珍しい症例なので記録の意味で出しました。)

横浜市戸塚鍼灸院

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