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バグス・グルーヴ (マイルス覚え書き5)

孤高のピアニスト、セロニアス・モンクとマイルスの共演したアルバムは少なくて、
<バグス・グルーヴ>と<マイルス・デイビス・アンド・ザ・モダン・ジャズ・ジャイアンツ>の2枚のみ。

1954年のクリスマスセッションがこの2枚のアルバムに分けられて収録されている。
ジャズ史上で有名なマイルスとモンクの喧嘩セッション?がこれ。

1954年当時マイルスのメンバーは流動的で、このセッションの翌年、1955年夏のニューポートジャズフェスティバルで、モンク作曲のラウンドミッドナイトの演奏でマイルスは一躍注目され、大手のコロンビアと契約することになる。

<バグス・グルーヴ>

1.バグス・グルーヴ(テイク1)
2.バグス・グルーヴ(テイク2)
3.エアジン
4.オレオ
5.バット・ノット・フォー・ミー(テイク2)
6.ドキシー
7.バット・ノット・フォー・ミー(テイク1)

録音
#1-2 1954年12月24日
#3-7 1954年6月29日

マイルス・デイビス(tp)
セロニアス・モンク(p)#1,2
ミルト・ジャクソン(vib)#1,2
パーシー・ヒース(b)
ケニー・クラーク(ds)
ソニー・ロリンズ(ts)#3,4,5,6,7
ホレス・シルバー(p)#3,4,5,6,7

 
モンク、ミルトの参加は、1.2の《バグズ・グルーヴ》のみ。
(曲名の《バグズ・グルーヴ》の“バグズ”とはミルト・ジャクソンのニックネームだが、都内に同名のバッグ屋さんがあるのがおかしい)

後半は、マイルスとソニー・ロリンズやホレス・シルヴァーとの共演。
ロリンズの書いた3.4.6も名演として有名。
このうち3のエアジンはマイルスが56年録音のクッキンでも取り上げている。

5.7.のバット・ノット・フォー・ミーはアーマッドジャマルが良く取り上げている曲。

つまり、この<バグズグルーブ>は、1.2.でマイルス、ミルト、モンクの共演を楽しみ、
3-7でロリンズとマイルスの共演を楽しむ、という一枚で二度美味しいアルバムということになる。

・ロリンズとマイルスの競演は
<マイルス・デイヴィス・アンド・ホーンズ>、1951.1.17録音。
<ディグ>  1951.10.5録音
<Collector’s Item> 1953.1.30 1956.3.16録音。(チャーリーパーカーも加わっている)。

・コルトレーンを麻薬問題で一旦クビにした直後(コルトレーンが抜けていたのは57年春から暮れまでの間)には、ロリンズを臨時のメンバーに加えて何カ所かで」ライブ演奏を行っている。(最後は1957年7~8月、場所はNYのクラブ『カフェ・ボヘミア』)

この 1954年12月24日の録音分の残りは『マイルス・デイビス・アンド・ザ・モダン・ジャズ・ジャイアンツ」に収録されている。

<マイルス・デイビス・アンド・ザ・モダン・ジャズ・ジャイアンツ>

曲目
1.ザ・マン・アイ・ラヴ(テイク2)
2.スウィング・スプリング
3.ラウンド・ミッドナイト
4.ベムシャ・スウィング
5.ザ・マン・アイ・ラヴ(テイク1)

演奏
1.2.4.5
マイルス・デイヴィス(tp)、ミルト・ジャクソン(vib)、セロニアス・モンク(p)、バーシー・ヒース(b)、ケニー・クラーク(ds)
1954年12月24日録音(MJQからジョンルイスを除いたメンバーにモンクとマイルスをはめ込んだメンバー)

3
マイルス・デイヴィス(tp)、ジョン・コルトレーン(ts)、レッド・ガーランド(p)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)
1956年10月26日録音

簡単に言うと、このアルバムの1.2.4.5と<バグズグルーブ>の1.2が1954年12月24日の録音である。

3曲目の「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」は第1期の黄金クインテットのマラソンセッションでの録音の別テイクということ。
アルバム<ラウンドミッドナイト>での同曲の録音は1956.9.10。
こちらのは1956.10.26。聞き比べると面白い。

「ベムシャ・スウィング」「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」はモンクの曲。

5.ザ・マン・アイ・ラヴ(テイク1)の冒頭に数人の会話(口論っぽい音声)が録音されている。
1.ザ・マン・アイ・ラヴ(テイク2)では途中でぴたっとソロをやめてしまったモンク、催促するようなマイルスのトランペットをきっかけにモンクのソロが再開される様子が録音されている。(5分28秒の所から5分39秒までモンクのソロが中断している)
ということで喧嘩セッションと言われている。

実際はマイルスがモンクに「自分がソロを吹いているときはバックで弾かないでくれ」と注文を付けただけのようだ。

中山康樹氏の「マイルスディビス 青の時代」によると、

・この12/24のセッションでは、ザ・マン・アイ・ラヴが録音されたのは一番最後。

・「ザ・マン・アイ・ラヴではモンクはマイルスのソロのバックででピアノを弾いている」
   事からこの曲のセッションで喧嘩が行われたわけではない、

と結論している。

「ソロの間バックでピアノを弾かないでくれ」
という注文はレコーディングの前に行われたのだろう。

バグズ・グルーブ、スウィング・スプリングではモンクはマイルスのソロの間バックで弾いていない。

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