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鉄過剰症

従来は 鉄過剰症というと、主に骨髄異形成症候群・再生不良性貧血といった難治性貧血の治療で何回も輸血を受けた場合に、鉄が過剰に体に取り込まれることによって発症する。
と言うことが問題になっていました。

鉄は重要であるが故に、生体内でリサイクルされて再利用されるシステムになっています。つまり、鉄を排泄する機能を生体はあまり持っていない、ということです。

そのため、輸血された成分中の鉄がどんどん体内に蓄積されていくわけです。

通常は  鉄は体内で充足していれば、食事から鉄を摂取しても、充足していれば適度に吸収が抑制されて過剰症は起こりません。

しかし、近年の鉄代謝の研究から、C型肝炎、NASH(非アルコール性脂肪性肝疾患)などの肝臓疾患のある人では過剰な鉄摂取は鉄過剰症を起こすこともありうる、という事がわかってきました。

近年明らかになったことは、肝臓で合成される、ヘプシジンという物質が鉄の吸収と再利用のバランスを保つ重要な働きをになっている、と言うことです。

ヘプシジン
・体内で鉄が充足されると鉄の吸収を抑制する働きをします。
・肝臓の機能が弱まり、ヘプシジンの産生が低下すると鉄吸収が過剰になり鉄過剰症がおこる可能性があります。

・鉄は生命維持に必須の金属ですが、それと同時に酸素との強い反応性を有しているので、、過剰になるとフリーラジカル(活性酸素)の産生源となり、沈着した臓器(脳、肝臓、膵臓、心臓など)の障害を起こします。

但し、特有の自覚症状はほとんど無いが、進行すると肝障害や心不全などの臓器障害を引き起こす危険性がある。

・同時に、インスリンの生物学的作用が阻害され、高インスリン血症やインスリン抵抗性が出現し血管内皮や組織の障害が引き起こされ、皮膚の色素沈着、血管の劣化などが起きてくることもある。

「国立がん研究センターなどの研究グループは5月 21 日、牛肉や豚肉など赤身の肉を多く食べる男性は、あまり食べない男性と比べて、糖尿病になるリスクが高くなるとの研究結果を発表した。
そしてその原因として、肉に含まれるヘム鉄や飽和脂肪酸、焦げた部分に含まれる糖化最終産物(AGEs)やヘテロサイクリックアミンが、血糖値を抑制する働きをするインスリン感受性やインスリン分泌に悪影響を与える可能性があると報告」

・また、鉄過剰の悪影響として感染症が増悪することがある。
(細菌にとっても鉄は増殖に不可欠なものであるため。
一般的に感染症にかかったときは鉄剤は飲まない事)

・アルツハイマー病やパーキンソン病などでは鉄分が異常に蓄積されているという。
鉄不足でもアルミニウムやカドミウムが過剰に吸収されてしまう、という説もあるので、
鉄、銅、亜鉛等の代謝異常がアルツハイマーやパーキンソン、ALS(筋萎縮性側索硬化症)などと関連していると思われる。
・鍵を握るのはやはり肝臓を良好な状態に保つことと、代謝を円滑に行えるように微量栄養素を充分に摂取する事だろう。

女性は生理である程度鉄を排泄するが、男性の場合は鉄を排泄するメカニズムが女性に比べると低いので、鉄分の多い物を食べ過ぎていると過剰症になることもあるだろう。
糖代謝のバランスの崩れも影響してくるのだろうと思う。

鉄過剰症の診断は、血清フェリチンである程度代用できる。
500ng/ml で過剰で、1000ng/ml を超えると臓器障害が起こりえる。

 


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