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1年半続く下腹部痛 結石?腸骨下腹神経障害?

51歳・男性。症状: 一年半ほど前から断続的に続く、左下腹部の痛み。

「痛みの箇所は、上前腸骨棘の内側あたりだが、ここ最近数日は周辺に広がっているようにも感じる。

痛みのある時は、手で触ってみると上前腸骨棘に付着する筋、あるいは靭帯に異常な筋緊張がある(強く張っている)ように思う。

痛みの頻度は、一年半前には月に2~3回。
ここ半年はほぼ毎日で、 程度の軽い時には市販の鎮痛剤、痛みのひどいときには座薬で凌いでいるが、そろそろ限界。
痛みのひどい時には、うずくまるほど。

既往歴:一年半前に左下腹部に痛みを感じたとき、病院で腎臓結石が確認された。
結石の大きさは8mm程で、現在は経過観察、保存療法中。

その他:泌尿器科の医者は、いずれも左下腹部の痛みと尿路結石は無関係と云う。
    念のため内科で大腸内視鏡検査を受診したが異常なし。
    外科医にも診察してもらいましたが鼠径ヘルニアではない。

以上の通り治癒の見込みがなく、ほとほと疲れております。
困り果てていたところ、貴院のサイトで腸骨下腹神経絞扼障害のページに行き当たりました。」

血圧:85/130  160センチ 63キロ。

初回 

病院での検査も行っていることだし、内臓痛ではなさそうなので、
とりあえず一番想定できるのは
・腸骨下腹神経絞扼障害なのか
・腎臓結石からの関連痛なのか・・・・・
他に考えられるとしたら内外腹斜筋、腹横筋からの関連痛というところ。

(腸骨下腹神経、腸骨鼠径神経の障害はメジャーとはいえないので医療機関でも見過ごされやすい。)

Tyoukotukafukusokei

チェックポイントとしたら、
腹部
腰椎1番あたりとその上下の椎骨・・・・
胸腰移行部は丸まった腰、捻りなどでストレスを受けやすい部分。
このあたりの椎骨部分と、関連する筋としては腰方形筋、内外腹斜筋、腹横筋。

関連する経絡としたら脾経、陰維脈、腎経など。

来院したときは痛みがなかったので、腹部を触診してもわかりにくかった。
強いて言えば、前上腸骨棘のやや内側、ツボで言うと大横、腹結、五枢あたりが右側よりは3割程度強い圧痛。

腹部よりも著名な圧痛が認められたのが腰部、左の志室あたり。
ちょうど腰方形筋の外縁あたりで内外腹斜筋、腹横筋も重なっている。

腰方形筋の前方にはちょうど腎臓、腸骨下腹神経、腸骨鼠径神経、大腰筋がある。

Sisitu
(医道の日本社 標準経穴より)

試しに刺鍼して軽く雀啄後、腹部の圧痛チェックすると緩和している。

全体的な疼痛・緊張緩和目的で耳鍼と築濱、公孫、腹部など置鍼 約30分。

その後、横向きにて胸椎12番から腰椎2番くらいまでと志室(腰方形筋の前方)を入念に治療。

2回目 (1週間後) 

初回治療後、強い痛みは起こっていないし、ほとんど腹部痛がない状態が持続している。。
志室部の圧痛もだいぶ緩和している。

前回同様の治療。
遠方ということもあり、とりあえずひどい痛みは収まっているので今回で様子見になった。

考察

腸骨下腹神経、腸骨鼠径神経の絞扼性神経障害は一般的に腹部の腹斜筋などを貫通する部位で起きやすい。

今回はもう少し上位の箇所、腰方形筋の前、大腰筋の後ろ辺りで、神経障害を起こしていた可能性が考えられる。
同時に内外腹斜筋・腹横筋のTPからの関連痛があったのかもしれない。

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腎臓結石からの疼痛だとすると、今回のケースは結石も大きいので、治療後痛みが緩和しても数日でぶり返したり、ダラダラと痛みが続く場合が多い。
結石の影響も当然有っただろうが、下腹部痛の直接原因とは言い難い。

追記 一ヶ月後メール有り
「その後、痛みは一進一退で、痛みの出る日もあれば、
痛みの出ない日もあるといった具合です。痛みが続くようであれば、
また治療をお願いしたいと思います。」

ということだった。

以下、腸骨下腹神経・腸骨鼠径神経の解剖メモ。

「腸骨下腹神経と腸骨そけい神経は腰椎一番(L1)の前枝から1本の神経管として起こる。この神経管は大腰筋の外側縁から出る前または出た直後に腸骨下腹神経と腸骨そけい神経に分かれる

腸骨下腹神経は腎臓の後方で腰方形筋の前方を横切る。これは腹横筋を貫通し腹横筋と内腹斜筋の間の層を通って身体の前方へ向かう。腸骨稜上方で外側皮枝が内腹斜筋と外腹斜筋を貫通し臀部後外側の皮膚を支配する。
腸骨下腹神経の残りの部分(前皮枝)は前方に向かい、斜め下内側に行く途中で、上前腸骨棘のすぐ内側で内腹斜筋を貫通する。更に外腹斜筋腱膜を貫通した後
、浅そけい輪のすぐ上方で皮枝となり、恥骨部の皮膚に分布する。走行中に腹部の筋にも枝を出す。

腸骨そけい神経は腰方形筋を横切る部位では腸骨下腹神経より細くその下方にある。
この神経の走行は腸骨下腹神経よりも傾斜が強く、腸骨稜へ向かう途中で腸骨筋の一部と交差する。
腸骨稜前端の近くで腹横筋を貫きその後内腹斜筋を貫通してそけい管に入る。
腸骨そけい神経は精索に沿って浅そけい輪から出て、大腿上内側部の皮膚、男性では陰茎基部、陰茎前面の皮膚、女性では恥丘と大陰唇の皮膚を支配する。その走行中に腹部の筋にも枝を出す。」

 

 

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