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尿膜管遺残症・手術後の後遺症

スケートの羽生謙選手の腹痛の原因となった病気で、一時ちょっと話題になった。

簡単に言うと

「胎生期の尿膜管の退化が不完全な場合に、遺残した尿膜管(尿膜管遺残)が原因となり臍から尿の排泄がみられたり、感染をおこして化膿して腹痛を起こす病気」です。

今回の患者さんはこの病気の手術後の後遺症の症状。

患者さんは28才のTさん(男性)
送って頂いたメールからの初診時の症状。
①腹部の痛みと熱感、動悸、倦怠感
2015年9月に全身麻酔下で尿膜管遺跡残症の手術後に、腹部の熱感と痛みと、動悸がするようになる。
手術前も熱感と痛みはあったが、胸の動悸動悸は無かった。
ペインクリニックにて硬膜外ブロック注射を行うも改善せず。
慢性前立腺炎の症状(腹部の不快感、熱感、)に似ているので泌尿器科にかかったら慢性前立腺炎との診断。セルニルトンを服用するも改善せず。

個人的には、現在の症状が全身麻酔の副作用によるものなのか、慢性前立腺炎によるものなのか、手術が上手くいっていなかったのか判然としない。
以降、今までに7~10日前後痛みがある期間と3,4日前後痛みがほとんど無い期間を繰り返す。
(注:痛みの一番強い時を100とすると、0から70くらいを繰り返している。)
手術前と似たような場所が痛むので、手術が上手くいっていないのではと思っていたが、異なる病院の数人のドクターに意見を頂いたところ、いずれも尿膜管遺残症自体は治っているとのことだった。
・症状が出ている時期は歯茎がじんじんしたり、胸から喉の辺りにかけての不快感圧迫感がある。
・不眠というほどのものではないが、入眠に時間がかかり(30分~1時間くらい、)たまに夜に目覚めることもある。
・会陰部の痛み・不快感はない。
・主に立ち仕事である。
・射精後に下腹部痛がある
・手術後風邪引きやすくなったきがする。
その他の症状
・右膝の痛み
2016年10月に登山の下山時に右膝を痛める。
膝を思い切り曲げたり長時間の歩行(20~30分くらい)をすると右膝の外側が痛む。
・アレルギー性鼻炎
治療経過
当院で慢性前立腺炎の患者さんを割と多く扱っているので、似た病気と言うことで来院された様子。

週一くらいのペースで治療行う。
大きな傷跡では無いが、臍部を切った後は形成を施してあるらしい。
手術後の傷跡の癒着や瘢痕化がトリガー(引き金の意味)となって引き起こされた症状の様に思えたので、腹部の臍周囲の傷跡を中心に鍼治療、+耳鍼
臍部の傷跡部位は小さくて鍼もやりにくい部位。
主に0.14×10ミリ 或いは0.16×13ミリの鍼を使用。
最後にパイオネックス0.2×0.6ミリ貼付。
膝痛の症状は数回でほぼ改善するも、腹部の症状に関してはあまり変化無し。
4回目くらいから臍部の傷跡の治療を入念に行い、プラス、照海・三陰交 下腹部の関元・曲骨に低周波。
6回目くらいから経過が良くなり、7回目、8回目来院時にはほぼ症状は無くなっている様子。
「体調は手術前の状態とほぼ変わらないまでに回復しました」というメールを頂いたので一旦様子見。

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あまり鍼灸院でお目にかかる病気では無く、業界で症例報告も見たことがないし、手探りの治療であった。
皮膚の傷跡の問題だけでは無く、「射精後に下腹部痛」という症状から腹部の中の方も手術後の筋膜の引きつれみたいな物があったのかもしれない。
こういう珍しい後遺症にも効果が見られた事は、治療する側にとってもうれしいことであった。
鍼灸治療は患者さんの治す力を引き出す治療法であり、多くの病気に効果的なことが、なかなか世間に認知されていない事が最近は実にもどかしい。

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