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帯状回

帯状回 、帯状皮質は大脳の内側面において、脳梁の背側を取り囲む前後に長い脳回 。

扁桃体と密接な双方向の線維連絡があり、感情、情動において扁桃体と共に重要。

 前帯状回腹側部:情動領域 側頭葉内側部(海馬を中心とした部分)、
                              前頭前野、扁桃体、視床などと密接な関係
 前帯状回背側部:認知領域
 後帯状回吻側/中間部:空間認知領域
 脳梁膨大後方部  記憶領域
 

Taijyoukai
上の図は講談社:「脳の探検」より

・前帯状回は痛みや情動に関係する様々な機能制御に関与するだけではなく、注意や予測などの高次的な認知機能に関与する可能性がある。
パニック障害には、この前部帯状回と脳梁膨大後方部の機能異常があるのではないかと研究されている。

前帯状回は、痛みに対し、
(1)痛みに伴う情動の喚起、
(2)痛みに対する反応の選択、
(3)痛み刺激の予知と回避についての学習 
に関与している。


自律機能や内分泌機能を制御するだけではなく、報酬予測、意思決定、共感や条件付けられた情動学習、体内の状態の表出に関連するvocalization、動機づけや内外の刺激に対する情動のバランスの査定、母子の相互関係などに関与する。

注意欠陥多動症候群 ADHDの患者は、前帯状回に異常があることがfMRIの研究で示されている。

脳画像研究者のダニエル・エイメン氏によれば

帯状回とは、
”脳の一大スイッチ切り替えセンター、変速機”といえる部位。この部分は、いわば脳のギアチェンジを司っている部位で、ここがしっかりと機能していると、人は例えば、何か状況の変化があった時、その変化に対し、適切に適応、変化することが出来る。一つの発想から別の発想へ切り替えるのを可能にし、人生には複数の選択肢があることを気づかせてくれるのもこの部位の働き。

★関心を移す能力
★認知的柔軟性(いろいろな場面で臨機応変に振る舞える能力)
★融通性
★いろいろな考え方をする。
★他の選択肢を考える
★「流れに任せる」能力
★協調性

この部位に問題があると、思考や行動がある特定の回路から抜け出せなくなり、心配性や強迫観念が生じる。
何かに非常にこだわる、ある行動をやめられなくなる、同じ考えを何度も何度も繰り返す、といった傾向が出てくる。
●心配性(いつまでもくよくよしてしまう、嫌な考えが頭に浮かんで離れないなど)
●過去の傷を根に持つ。
●思考にとらわれる(強迫観念)
●行動にとらわれる(強迫症)
●反抗的態度
●理屈っぽい
●協調性がない(無意識的にイヤと言う傾向がある)
●中毒症の症状(アルコール中毒、麻薬乱用)
●慢性痛
●強迫性障害(OCD)
●OCDスペクトラム障害
●摂食障害
●ロードレージ(運転時の暴発)

ダニエル・エイメン先生の提唱する帯状回の障害への処方箋の第1は、
「自分が何かにとらわれていることに気づき、自分自身の気をそらせること。
循環性の思考を自覚しない限りそれに対するコントロール力を得ることはできない。思考が循環している(何度も繰り返す)のに気づいたら、そこから気持ちをそらして、なにか別のことを考えたり、気晴らしの行動をとる、ということ」

東洋医学ではこれを「移精変気」と呼んでいますね。
「偏った執着した状態にある気(意識)を他のことに移すことによって、気持ちを切り替えて病を治す」という技術の事で、現代でも全く通用することです。

今・現在に集中するようなヴィッパサナ瞑想もこういう妄想・心配性に効果的だと思います。
妄想・心配事・不安は、意識・気持ちが、将来起こりそうな不安な心配事に執着してしまうことを、今・現在、今の瞬間に集中させて、(具体的は自分の呼吸に集中させたり、歩行禅では足の裏の感覚に集中することになります。)妄想や心配事に執着した意識・気持ちを変化させて不安を取り除いていく、という方法ですから、これも広い意味で「移精変気」でしょうね。
そして自分の心の傾向に「気づく」ということが大切なのだと思います。

こういうトラウマ、精神的な疾患に対して効果的なのが耳鍼です。
最近雑誌で米軍でトラウマや痛みの治療で耳鍼が使われている、という記事が載っていて、関心を持っています。
当院でも神経的頻尿や慢性痛の治療で耳鍼を用いていますが、脳の領域にアプローチできると言うことが耳鍼の長所なのです。

横浜市戸塚鍼灸院

(以下は痛みと帯状回に関してネットから探しての引用メモ書きです。
・山下哲、成田年 非視床性疼痛機構における慢性疼痛関連可塑性より)
「帯状回の電気刺激による活性化や血流増加が、間接的に中脳水道周囲灰白質(PAG)を起始核とする下行性疼痛抑制系を活性化し鎮痛作用を生じることが推測される
帯状回へ入力する痛みの上行性経路のうち、内側系経路は、痛み刺激の部位・強度を検出するのでなく、慢性的な疼痛に対して防御的に感情を制御しているものと考えられ、この感情の制御が破綻すれば体得難い苦痛、不安、うつが生じることになると考えられる。
帯状回領域において、神経障害性疼痛により活性化したアストロサイトはシナプス伝達を変化させ、神経伝達効率に影響を与えている可能性が考えられる
痛みの慢性化に関わる情報伝達には、グルタミン酸受容体のなかでもNMDA受容体の活性化が大きく関与している
神経障害性疼痛による痛覚過敏状態下では、情動的側面を担う帯状回領域において、グルタミン酸神経系の情報伝達の亢進が引き起こされている可能性が示唆された。また、これらは、痛みの量的・質的変化に関わるシナプス伝達効率などの可塑的変化を引き起こしているものと考えられる
神経障害性疼痛により認められる睡眠障害やこうしたベンゾジアゾピン系薬物の効力低下は、細胞外GABAの低下に起因する可能性が考えられる
神経障害性疼痛下の帯状回領域におけるグルタミン酸の増加が、アストロサイトを刺激し、その結果GAT-3の細胞膜移行を誘導して、細胞外GABA濃度の低下を引き起こしている可能性が示唆された。これらの結果から、神経障害性疼痛により抑制性GABA神経系の伝達効率が低下し、睡眠障害およびベンゾジアゾ系薬物の作用減弱が誘発される可能性が推察される 」

追記 2/26 時事通信のニュースから

「心理学では、人には「自分は平均より優れている」という思い込み(優越の錯覚)があることが知られているが、この錯覚が脳内の異なる部位の連携の強弱や、神経伝達物質に影響されることが25日までに、放射線医学総合研究所などの研究で分かった。抑うつ状態ではこの錯覚が弱いことも知られており、成果は抑うつ症状の診断などへの応用が期待できるという。論文は近く、米科学アカデミー紀要電子版に掲載される。
 放医研分子イメージング研究センターの山田真希子主任研究員らは、男性被験者24人に対し、「正直」「怒りっぽい」「温厚」などの単語を示し、自分が平均と比べてどうかを評価させる実験を実施。多くの人が平均より2割程度「優れている」と自己評価していた。
 その上で、機能的磁気共鳴画像診断装置(fMRI)と陽電子放射断層撮影(PET)を使い、脳内の局部的な働きと神経伝達物質が「錯覚」に与える影響を調べた。
 その結果、脳の深部(大脳基底核)にある線条体という部位で、神経伝達物質のドーパミンが多いと、線条体と、認知をつかさどる前頭葉の「前部帯状回」と呼ばれる部位の連携が低下。両部位の連携が弱いほど、「錯覚」の程度が強いことが分かった。」 

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