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鉄欠乏性貧血

貧血で一番多いのがこの鉄欠乏性貧血。血液中の鉄分が不足して起こる貧血のことです。

女性では生理、妊娠、出産、授乳があるので鉄分の消耗が多くなり、更に過多月経、子宮筋腫などがあると余計に貧血になりやすくなります。

男性では少ないとはいえ、消化管からの出血がある場合は貧血になりやすくなります。

また極端な偏食やダイエット、菜食主義者も鉄欠乏性貧血になりやすいですし、
成長期の子供さんでは鉄分摂取が成長に追いつかなくて起こる場合もあります。

手術で胃を切除すると3年ほどたってから鉄欠乏性貧血になる場合があります。

食生活の変化のせいか、日本人女性の鉄分摂取量は戦後一貫して減り続けています。
献血に訪れる女性のうち、貧血のために献血できなかった方の割合は年々増加しており,月経のある女性では約30%にもなるそうです。

一般に良く言う、「貧血を起こして倒れた」という状態は、正確には「脳に一時的に血流が行かなくなった状態」で、急性起立性低血圧とか脳貧血と呼ばれ、本来のここで言う「貧血」とは異なるものです。

機能鉄と貯蔵鉄

体内の鉄は70% が赤血球のヘモグロビンの中にあり機能鉄と呼ばれます。
残りの30%は貯蔵鉄(フェリチン)として肝臓や脾臓などに常時蓄えられています。おり、機能鉄が不足してくるとその分を優先して補います。

鉄欠乏性貧血の症状は少しずつゆっくりと進行します。

体内での鉄の減少は、貯蔵鉄のフェリチンから減っていき、ヘモグロビン中の機能鉄を補います。

通常の血液検査ではヘモグロビンの値で貧血かどうかを判断します。

血液検査のヘモグロビン値で貧血と診断されると言うことは、貯蔵鉄は空っぽに近い状態になっている、と言うことです。

初期の段階では、貯蔵鉄のフェリチンが減少していても、ヘモグロビンの値が正常に出る、と言うことがザラにあるので、機能鉄が減少した、「潜在性鉄欠乏の状態」は一般の検査では分からないのです。

この「隠れ貧血状態」・・・・・・・・多分、かなり多いと思います。

貯蔵鉄の状態を調べるにはオプションでフェリチンの値を調べることが必要になります。

*フェリチンは、内部に鉄分を貯蔵できる蛋白で、肝臓・脾臓・心臓など各臓器に存在しており、微量ながら血液中にも存在している。

鉄の働き

一般的に知られているのは
・赤血球の構成要素として酸素の運搬に関わる と言うことです。

赤血球にあるヘモグロビンができるときに鉄分を必要とします。
体内の鉄分が不足すると、ヘモグロビンの合成がうまくいかなくなります。

そうすると赤血球中のヘモグロビンが減少し、また、赤血球そのものも小さくなってしまいます。その結果酸素を全身の組織に供給できなくなってしまいます。

鉄欠乏性貧血は血が薄い状態といえるわけで、全身の組織に影響します。
・息切れや動悸がしたり、顔色が悪く、だるい、倦怠感、疲れやすい,肌荒れといった症状が起こるようになってきます。

その他の  鉄不足症状としては

・頭が重く感じたり(頭重感)、
・生理前の頭痛も貧血による酸素不足の可能性があります。
・冷え性、肩こり
・胸の痛み
・眼瞼が白っぽくなる、舌が赤く腫れて痛む(舌炎)、口内炎、筋力低下、脚がつる
・粘膜が弱くなる   特に食道粘膜(粘膜が荒れて食べ物を飲み込むのがつらい)、
              胃粘膜。
・異食症(氷や土、或いは火を通していないジャガイモや小麦粉をなどが食べたりする)
{原因は不明だが、鉄不足によって脳の働きに異常を来し、食の嗜好を狂わせるらしい。}

・爪の異常・・爪が欠けやすい、割れやすい、二枚爪、さじ状・スプーン状爪(爪が薄くなって反り返る)、

酸素の運搬以外にも、鉄が皮膚や粘膜の組織の合成や多くの代謝に重要な補酵素のような働きをしていることが近年分かってきています。
鉄不足だと酵素の働きが低下して様々な代謝に影響が出てきます。

(実際に鉄不足の症状は機能性低血糖症の症状とも類似して多彩ですし、機能性低血糖症と鉄欠乏性貧血の両方を持っているケースもあります。)

・ミトコンドリア内でのATPの合成に重要な働きを担っている。
(つまり鉄不足はATPの合成が不充分になり、エネルギー不足、冷え性などを引き起こす)

・カタラーゼやグルタチオン・ペルオキシターゼなどの抗酸化酵素の構成要素となって活性酸素の消去に関わる

・セロトニン、ドーパミンなどの神経伝達物質の生産に関わってて、知能や情動、意欲などの精神活動に影響する。
(最近はムズムズ脚症候群や鬱病、パニック障害と鉄不足との関連も指摘されています。)

・コラーゲンの生合成にも作用するので、不足すると、皮膚、肌や爪、髪の毛が弱くなる。
皮膚にアザができやすくなる。

・鉄不足は有害ミネラルの過剰と関連している可能性が指摘されている。
カドミウムや鉛などの有害ミネラルと鉄は小腸で吸収されるときに同じ運び屋タンパク質に運ばれる。
アルミに対しても鉄分が不足しているとアルミを鉄と間違えて吸収してしまうのではないかとされている。

鉄をたくさん摂っていれば、カドミウムや鉛は吸収されにくくなるが、鉄不足だと有害ミネラルが吸収されやすくなる。

体内のカドミウムや鉛の濃度が高まると、赤血球が壊れやすくなったり、ヘム鉄の合成が抑制されるようだ。

ヘム鉄と非ヘム鉄

食品に含まれる鉄には、体内に吸収されやすいヘム鉄と吸収されにくい非ヘム鉄の2つに分けられます。吸収率はヘム鉄15~25%に対して非ヘム鉄2~5%と、ヘム鉄の方が5倍くらい吸収されます。

ヘム鉄は、肉・魚などの動物性食品に含まれ、中でも貝類・かつおやマグロなどの赤身の魚・鰯や鯖などの背の青い魚・レバー・牛肉の赤身などに多く含まれています。
ヘムは鉄単体ではなく、二価の鉄原子とポルフィリンと言う有機化合物からなる分子で、動物性の鉄分は有機化合物ヘムと言う形でそのまま吸収できます。

一方、野菜・穀類・卵・乳製品などに含まれる非ヘム鉄は、数パーセントしか吸収されません。
しかし、同時に摂取する栄養素により大きく吸収率が変わってきます。

・非ヘム鉄は三価鉄でそのままでは吸収できず、ビタミンCや動物性タンパク質に含まれる消化酵素によって二価鉄に還元される事によって吸収されやすくなります。

・たんぱく質
  たんぱく質に含まれるアミノ酸は、非ヘム鉄の吸収を促進する働きがあります。
  

・胃酸
胃酸には化合物として存在する鉄をイオン化する働き(3価鉄を2価鉄にする働き)が  あり、吸収を助けます。
むやみに胃酸を抑える薬を飲んだりすると、鉄の吸収が悪くなったりするわけです。

 

・銅と貧血

銅は鉄の小腸での吸収を促進する働きがあります。
また、ヘモグロビンの成分ではありませんが、 生成には欠かせません。

・ビタミンBと貧血

ヘモグロビンは鉄とたんぱく質が主成分で、たんぱく質の再合成にはビタミンB6の補酵素としての働きが欠かせません。B6が 不足するとヘモグロビンの生成が妨げられ、同じように貧血を引き起こします。
つまり鉄orビタミンB6が不足していると、正常な赤血球より一回り小さくてヘモグロビンの数も少ない,未熟な赤血球が出来てしまう。

葉酸やB12も造血のビタミンで、不足していると幹細胞が正常な分裂が出来なくなる。
そうするとサイズは異常に大きいのだが、もろくて、酸素を配達する能力も低い赤血球になる。これが増えすぎた状態が悪性貧血(巨赤芽球性貧血)。
同じような変化は、白血球や血小板にも現れるため、すべての血球が少なくなります

機能性低血糖症では、ほとんどB群が不足していますので、当然造血機能も低下する、という悪循環が起きると思われます。

・亜鉛とビタミンEの過剰は鉄の吸収を妨げる。

・鉄鍋、鉄瓶を使用した場合は溶け出すのは二価鉄で吸収されやすい。但し調理法によって差が大きい。

・プルーンの場合は鉄がペクチンという食物線維に包まれているので吸収されにくい。

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